15th Day 「最後の試練」

9月28日

5:15起床。

ホンマは4:30起きのつもりだったのに…少々寝坊。空は若干明るくなってきたところ。テントをたたんで昨日いただいたちらし寿司で朝食。ちらし寿司おいしい。5:50出発。

運動公園を出て、向かうは八十一番・八十二番が建つ五色台。が、早速道を間違える。まずは五色台につながるR11に合流するために運動公園を出て右折すべきところを何の迷いも無く左折。全く逆方向へ激走してしまう。寝坊しててただでさえ時間がないというのに。今日中の結願に早くも暗雲が立ち込める。この時点ではこの暗雲が現実に迫って来ているとはつゆ知らず…。

道を間違えていることに気づき、県道17号→33号経由でR11に復帰。えらい遠回りやったな。R11からR180に入って、五色台麓へ。ところがこの辺り一面田んぼや畑が広がって目印らしきものも無く、入り口がどこかよく分からない。迷いに迷って近くに神社を発見してトイレをお借りして出てくると、ようやくそれらしき案内板発見。こっから上り坂に入る。

この上りがかなりきつい。八十一番白峰寺は標高337mの山の中腹にある札所。曲がりくねった車道を少しずつ自転車を押して登る。途中で徒歩の遍路道もあるのだが、自転車強行は厳しそう。大回りだが車道を選択。結局入口から30分ほど登っただろうか、7:42八十一番札所白峰寺到着。7時ちょうどの納経を狙っていたのだがやはり遅れを取ってしまった。僕が到着したと同時に、昨日国分寺でお会いした女性2人組みの自転車遍路さんが参拝を終えて出てこられた。この先の宿で一泊したらしく、昨日納経を終えた後さらにここまで登ってきたということになる。ホンマにすごいな、この人たち。自転車も僕の6段変速に比べて3倍の18段で本格的やし。とりあえずここでお別れして、また次の根香寺でと。「途中で追い抜かれるかもね〜」なんて言っていたが多分ペースは向こうの方が速いのでそれは無さそうです…。

参拝を終えてさらに上り。根香寺は標高360mだが途中で標高480mの峠越えが待っている。峠を越えれば一気に下りなのだろうが、これを登るのが大変だ。所々平坦になっているところはあるが、基本的にきつい上り坂。しばらく上り続けたら、徐々に下りになってきた。これで峠は終わりか〜と思って自転車に乗りスイスイと下っていると、再び急激な上りが…。全然峠なんて越えてなかったようだ…。モチベーションが一気に崩壊しそうになる。団体のバスに追い越されながら、再び上り続けて、正真正銘の峠越え。こっからは一気の下り。そして大きなカーブの手前に根香寺への案内板発見。ようやく到着。自転車はここに置いて林道へ入って行く。するとこの道はダイレクトで境内につながっている道だった。山門からではなくショートカットで境内に入ってしまったのだ。う〜ん失敗したな。ともあれ8:37八十二番札所根香寺到着。しょうがないのでとりあえず本堂へ。ここの本堂は回廊のようになっていて中に入れる造り。中は暗くて若干怖い。

山門に向かうと例のお2人がいた。次の一宮寺への道を確認しているようだ。僕も同様に地図を確認。大体の道を確認する。すぐ先に案内板が出ていたのでまずはそれに従って下ることに。お二人は先に行っていただいて後に続く。急な下りに急カーブが連続する。昨日雨が降ったのか、路面が濡れてて小まめにブレーキしていかないとこけそうになる。

無事山を降りて広い道に出る。2人組も僕もコンビニに寄ったり寄らなかったりして、追い抜いたり追い抜かれたり。県道176号の分岐がどこかわからず3人で確認しながら先へ進む。お二人のうち後輩の方はすごい速いペースでガンガン先へ進み、先輩の方はゆっくりマイペースで進み、僕はちょうどその真ん中を走るという位置取り。ローソンのある交差点を左折。少々入り組んだ住宅街にあるので分かりにくかったが、10:19八十三番札所一宮寺到着。何故か2人組よりは先に到着。この札所には薬師如来を祀ってある小さな石堂があって、この中に首を突っ込むと地獄からの声が聞こえるそうで、日ごろの行いが悪いと入口が狭まって、そのまま首が抜けなくなるとの言い伝えがあるとか。恐る恐る試してみたが何とか首も抜けて一安心。納経所には次の屋島寺へのルートが書かれてあってしっかりチェック。

八十三番→八十四番は結構距離がある。自転車なら約1時間くらいか。R193からR11へ乗り継ぎ、高松市街地へ。地下の立体交差を抜けて右折。国の合同庁舎が並ぶ松島町通りを走る。一月前まで就活のため、スーツを着て東奔西走していた場所だ。まさか自転車でここに来ることになろうとは。つーか現時点ではまだ内定出てないんだよなぁ…。ちょっと現実世界に戻らされた気がした。

R11を東へひたすら走り、県道14号へ。屋島寺は標高380mの高台にある。車であれば先の屋島ドライブウェイからぐるっと回っていくことになるが、自転車ならばこの道を途中まで上がって遍路道を歩いていく方が距離も短い。14号に入るとすぐに上りになっていく。住宅が密集していて一見閑静な住宅街だが、実はかなりの急斜面に家が並んでいる。なんと最大斜度21%という、四国遍路道の中でも屈指の激坂だ。当然自転車をこいで上がることは不可能。押して登るのもやっとという感じ。天気もよく、久々に汗だくになって坂を上っていく。約10分ほど上がった所で車道の終点。ここからは屋島寺への徒歩遍路道。自転車を置いてきた分だけ足取りが軽くはなったが、引き続ききつい上り。途中のベンチで休憩しながら、結局25分ほどかけて頂上へ。12:19八十四番札所屋島寺到着。

頂上でうどん昼食をとった後、今度は一転激下り。ブレーキMAXだがもう悲鳴を上げっぱなし。道幅もそんなに広いわけでないので、あんまりスピード出すと危険。安全に自転車は押して下ることに。R11に復帰してさらに東へ。続く八十五番も標高210mの高台にある札所。本日3本目の山攻めだ。高松に入ってからほとんど街中を走っているのだが、なかなか厳しい道が続く。札所間の距離が短い香川ということでスイスイ回れるかと甘い考えをどこかで持っていたが、さすがに四国八十八ヶ所、そう簡単にはいかない。最後の最後まで試練が続く。

八栗駅近くの交差点を左折し、八栗ケーブル駅を目指す。実は屋島寺にも設置されているのだが、札所までがあまりに急坂のため、八栗寺にはケーブルカーが運行している。朝一で五色台越えをしてきて疲労があるだけに楽をしたいところだが、太龍寺・雲辺寺の件もあるし、ここは我慢。脇の徒歩遍路道を進むことにする。ケーブル駅までも微妙に上り坂。途中、道路工事のおっちゃんに激励されながら坂を上る。ケーブル駅に無事到着し、自転車を置いて遍路道を進む。たかだか1kmの道のりなのだがこれまた急坂。先ほど屋島寺で斜度21%と言ったが、実はこの八栗寺への遍路道の最大斜度は27%。文句なしの四国遍路道中最高の激急坂だ。これは歩きでも自転車かついで行くのは無理かもしれん。木が生い茂って薄暗い遍路道をゆっくりと歩き、14:08八十五番札所八栗寺到着。ちょうど札所に着いたころに雨が降ってきた。しかもかなり本降り。境内は多くの参拝客がいたが、プチパニック状態。にわか雨だったのか、すぐ止んだのだが境内の軒下で雨宿りさせてもらう。無事参拝を終えて下山。

続いて八十六番。いよいよラスト3。案内標識を頼りに進む。香川は何となく札所の案内番が多く出ている気がする。先天性方向音痴の僕にとってはありがたいことこの上ない。ケーブル駅から大体30分で、15:24八十六番札所志度寺到着。まだうっすら小雨が降っている状態だが、境内では子供が走り回っている。しかも納札奉納箱の中を覗いて金色の納札を探してるようだ。見つけたら持って帰る気かな…。

そして次はラス前八十七番。田園風景が広がるのどかな道を南に走る。雨も上がって風が心地よい。遍路道シールを探しながら走って16:10八十七番札所長尾寺到着。札所もあと2つかと思うと山門をくぐるのにも特別な感じがしてしまう。境内で大窪寺への地図を確認して、札所を後にする。

納経終了の5時まで残り30分弱。大窪寺までは約16km。さすがに今日は間に合わない。最後の最後、大窪寺を残して今日はキャンプを張ることに。大窪寺へ続く県道3号を南へ下る途中に前川キャンプ場という場所があり、今日はここで寝かせていただくことに決める。近くまできたが、場所がよく分からないのでコンビ二で道を教えてもらって、キャンプ場に到着。屋根もあり、雨が降っても十分しのげる。屋根の下でテントを張っていると徐々に雨音が。と思ったら一気に大雨に。明日までに止んでくれるかな…。

夕飯を買うためにさっきのコンビニへ。パンとヤキソバを購入。レジでコンビニのおっちゃんと軽く話をしていると、ついにおっちゃんの口から今回の旅で最も恐れていたフレーズがさりげなく飛び出した。

おっちゃん:「雨振ってきたなぁ」
ワタクシ:「朝には止んでくれるといいんですが。」
おっちゃん:「やまんやろうねぇ」
ワタクシ:「そうですか〜。」
おっちゃん:「台風来よるからな〜」
ワタクシ:「…!」

今年の夏は例年にも増して大型台風がガンガン上陸している。特に四国はほとんどの台風の直撃を受けて山間部ではかなりの被害が出ていた。この旅に出るときに最も危惧していたのは他ならぬ台風だった。確かに今年に限って言えば、ここまでで全く台風に出くわさなかったこと自体が奇跡かもしれない。しかし、よりによって残るは八十八番、ただ一つというところで直撃を受けるとは。これぞまさに最後の試練というのか。

話によるとこの台風かなり大型。四国上陸は明日の昼以降になる見通し。時間的にはまだ余裕がある。とりあえず明日は早起き必修。朝一、7時の納経・結願を目指す。

コンビニを出ると、雨の中を走るあの二人組に再会。そういえば一宮寺以来会ってなかったな。台風が来ているそうだと伝えると、それならもうちょっと先へ行くと言って、さらに先へ行ってしまった。もう辺りは真っ暗なのに、少々心配だ。この先には道の駅があるのでそこで野宿するのだろうか。

強まっていく雨の中テントに戻る。気温もだいぶ下がって肌寒い。ヤキソバの温かさが身にしみる。食事を終えて寝袋に包まって横になる。野宿をするのもこれが最後。野宿にもだいぶ慣れてきた。この旅で自分の何が変わったかとハッキリ言えることはまだ分からないけど、とりあえず生命力は上がったかも。思えば旅に出たときは八十八番なんて遥か彼方の場所だと思ってたのが、現実にすぐ目の前、距離にして10kmに迫っている。はぁ〜ついにここまできたか〜、という何ともいえないセンチメンタルな感じだ。台風は迫っているが、もうここまで来たからには後に引くことは出来ない。泣いても笑っても残す札所はただ一つ。八十八番大窪寺。ついに、ついに、ファイナルだーーーーーーーーーーーー!

19:30就寝。



  納経    2100円(300円×7ヶ所)

  宿泊    0円
  入浴    なし
  洗濯    なし
  移動    なし
  食事朝  180円(パン+ちらし寿司(お接待))
      昼  500円(うどん)
      晩  500円(カップ焼きそば・パン)
  その他  なし


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