3rd Day 「重い代償」

9月16日

5:30起床。

ちょっと寝坊。実家ということで油断した…。朝食を食って荷物をまとめる。昨日の焼山寺攻めで荷物の重さを痛感し、何とか減らせないものかとアーデモナイコーデモナイと四苦八苦しているといつのまにか時刻は7時前。やばい、ゆっくりしすぎた。結局あまり軽量化することもできず7:10出発。

今日の目標は二十三番と二十四番の間にある竹ヶ島キャンプ場。一気に高知との県境まで走るという魂胆だった。距離・時間的に結構カツカツだったにもかかわらず、出発が遅れてるので微妙かと。とりあえず道を間違えなければ二十三番には間に合うかなー、ま、明日早起きすればいいや〜、などと楽観していた。数時間後の僕がこの場にいれば確実にグーで殴ってただろう。

最初に目指すは十八番札所恩山寺。国道55号線をひたすら南下。とにかくひたすら走る。ひたすらひたすら…行き過ぎた。いきなりのコースアウト。言ってるそばから間違ってどうすんねん、と先を思いやるが、こんなものこの先に待っている悲劇に比べれば序章にすぎなかった。8:20十八番札所恩山寺到着。山裾にあるお寺らしく境内に入ると石段が多い。納経のとき十九番への道を教えていただいた。

十九番までは少々道が入り組んではいるが、案内板に従い迷うことなくスムーズに行けた。8:51十九番札所立江寺到着。住宅街の中にあるお寺にしては境内は意外に広い。納経を終え、二十番鶴林寺へ。十九番から自転車で2時間ほどかかる。大通りを進むので迷うことはない。が、十九番がかなり入り組んだところにあるので、大通りへの出方がわからない。住宅街から脱出するのに時間をかけてしまう。

二十番札所鶴林寺は阿波の第二の難所と言われている。標高は570mと焼山寺に比べると低いが坂は激急。例にならって自転車は押して登る。天気も悪くなってきて、小雨が降り出した。かなり急坂なのできつい。鶴峠までは自転車で行けるということなので頑張ってみるが全然見えてこない。このままではかなり体力を消耗してしまうと考え、途中小屋があったのでそこに荷物を置かせてもらう。この甘えた考えが間違っていた。少し楽になったが、まだ道のりは長い。何とか鶴峠まで登り切る。周辺地図の立看板の前にあのカップルの自転車2台が置いてあった。そしてここでようやく自分の犯した致命的なミスに気がつく。僕は二十番鶴林寺から二十一番太龍寺へは、鶴峠から来た道を引き返して山を下ると思い込んでいたが、実は鶴峠を越えて山の反対側に下りなければならなかったのだ。荷物を下に置いてきた以上、先へ進むことができない状況に陥ってしまった。これは方向オンチがどうこういう次元のミスじゃない。単にルートを勘違いしてただけなら大きな問題はなかったが、少しでも楽したいという愚かな考えを持ったばかりに罰が当たった。しかし鶴林寺の参拝はまだ終えておらず、ここからさらに2kmの道を歩いて登らなければならない。途方に暮れるが、参拝に向かう。するとすぐ自転車カップルのお2人が参拝を終えて下りてきた。焼山寺の自転車下りはかなり危険だったことや荷物を置いてきてしまったことを話す。これからお二人は二十一番太龍寺へはロープウェーで行くとのこと。僕もロープウェーを使うかどうか迷っていたが、現状を考えると多分ロープウェーで行くことになりそうだ。ここでお別れして先へ進む。結局お2人にお会いできたのはこれが最後。無事に回られただろうか。

二十番札所鶴林寺本堂。2羽の鶴に守られている。
しばらく進むとこれから登るという歩きで回られているご夫婦に出会う。車道よりも山道の遍路道の方が距離が短く歩きやすいと教えていただき、遍路道を進むことにする。参拝用具しか持ってきておらず、荷物が軽い分歩いて登る方が楽に感じた。30分ほどかけて二十番札所鶴林寺到着。山門の写真を撮っていると、そこにいたおばさん4人組に写真を撮ってくれと頼まれる。車でここまで登ってきたらしい。年をとったら車で気の知れた人たちと回るのも楽しいかなと感じ、いざ境内へ。標高が高く天気も雨模様なので、境内は霧がかかったような神秘的な雰囲気だ。針葉樹の森が周りを囲んでおり、異空間に入り込んだ気分になる。歩きのご夫婦と別れ、鶴峠まで下る。

鶴峠帰着。現在12:10。どう考えても当初の目標竹ヶ島はまず不可能。というか二十三番どころか二十二番まで間に合うか怪しい。とりあえず歩いて荷物を取りに行ってもう一回この坂を登るのは体力的に無理。自転車で下って山をぐるっと迂回するしかない。時間にして2時間強のロス。ほんの数十分の駄楽を求めた代償は大きくついた。もと来た道を逆走。県道16号→22号→19号と走っていく。山1つ分回るだけに結構な距離だ。19号線は那賀川沿いを走る。雨が降ったせいか水が濁り水量も多い。山間部では少しの雨で川の模様が変わってしまう。台風で深刻な被害が出るのもわかる気がする。14:20ようやく太龍寺ロープウェー乗り場に到着。自転車も乗せることができるので、片道だけ切符を買い、下りは自転車で行くことにする。自転車的には昨日の焼山寺下りの時のダメージが心配だが…。20分おきに便があり、次は14:40発。時間があるので駐車場横のうどん屋で昼食。しかしゆっくりしすぎて40分の便に乗り損ねる。しょうがない。15:00の便を待つ。この時点で予定より3時間ほどの遅れ。

15:00の便の乗客は僕一人。貸しきり状態だ。ガイドさん曰く天気がよければすごい景色が見られるというのだが、あいにくの雨模様で山全体に霧のもやがかかってしまってて見渡す限り真っ白な世界。今度は天気のいい頃にもう1度来たいな。ガイドさんに聞くと自転車のカップルお2人は昼過ぎにロープウェーを利用したとのこと。もうかなり先に行ってしまったようだ。15:10二十一番札所太龍寺到着。めっちゃ早い。400m以上の標高差をあっという間だ。今日の宿をどうしようかまだ決めていないという話をガイドさんとしていたら、二十二番近辺の宿泊施設を書いた紙を頂いた。その中で、二十二番のすぐ近くに善根宿があるらしく、行く前に電話を入れていれば泊めてくれるだろうという。大変ありがたい。

太龍寺の境内はむちゃくちゃ広い。自転車で参拝したくなるほどだ(注:境内で自転車乗るのは禁止です)。ここで昨日十三番で出会った静岡の車の男性に再会し、「自転車なのに早いですねぇ」と言われる。だいぶ予定より遅れてるんですが…。とりあえず参拝を終え下りの道へ。ここで鶴林寺で出会った歩きのご夫婦に再会。つまり二十番→二十一番で歩きの方と同じ時間がかかったということになる。やはりこのタイムロスはデカイ…。

二十一番の遍路道に咲く彼岸花。
山門を抜け、自転車で山道を下っていく。案の定ブレーキ利かないような激下り。道が細い上に急カーブ連続なので気を抜くと崖から落ちそうになる。さらに舗装されてない道やし雨降ってて滑りやすいから危険度MAX。ダウンヒルは断念して道が広くなるまで自転車押して下ることに。途中彼岸花がきれいに咲いていた。駐車場の辺りからようやく道幅が広くなり自転車で行く。しかしブレーキはフルスロットル。ブレーキが悲鳴をあげ出した。とにかく時間がない。何とか二十二番まではたどり着かなくては。

夕方になり徐々に日が落ちていく。周りが暗くなるにつれ、焦燥感も募っていく。必死で自転車をこぐ。ノンストップでこぎ続けたので道がわからなくなり近所のおじさんに道を聞きながら、16:55二十二番札所平等寺到着。すぐさま納経所へ向かう。もうお寺を閉める準備をしていたが、なんとか先に納経だけしていただけた。参拝を終えると、静岡の方が到着。急いで納経に向かわれた。とりあえず今日はここで限界。ロープウェーのガイドさんに教えていただいた善根宿に連絡を入れる。先客が4名いるがそれでよければいいということだった。お寺の方に道を教えていただき、宿へ向かう。

宿を管理をされている金物屋さんにご挨拶をし、はなれの宿泊所へ。先客の4名は20〜50代で大阪・奈良・香川と年齢も出身もバラバラだが、旅の途中で意気投合し、共に旅をしていると言う。そういう出会いもお遍路ならではだなぁと感じる。近くにスーパーがあると言うことで夕食の買出しに。カップ麺を購入したがお湯が使えないということを知って困っていると、最年長のおじさんが持参のカセットコンロでお湯を沸かしてくれた。ほんとに感謝。シャワーがあると言うのでお借りすることに。水しか出ないが汗を流せるだけで十分だ。最年長のおじさんは何度も回っていると言うベテラン遍路さん。地図を見ながら穴場の宿泊ポイントをいろいろ教えていただく。道の駅は野宿に快適だが、野宿禁止のところや暴走族の溜まり場になっているところもあるというので大変参考になった。

こちらの宿は21時消灯。そろそろ寝支度をすることに。しかし敷き布団が4枚しかないことが発覚。ということで最年長のお父さんを除く若い衆で敷布団争奪ジャンケン。最初はグー、ジャンケンホイ!…どうして皆グーなのに僕だけチョキなの。しょうがなく掛け布団を重ねてその上に寝ることに。掛け布団や毛布は大量にあったので案外快適。

とにかく今日は大きく遅れをとってしまった。どこかで挽回しなくては…。

21:00就寝。



  納経    1500円(300円×5ヶ所)

  宿泊    0円
  入浴    0円
  洗濯    なし
  移動    1300円(太龍寺ロープウェー片道)
  食事昼  400円(わかめうどん)
      夜  330円(カップラーメン・パン)
  その他  100円(フォーク)


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